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湖畔にて

by Takapi

幼少の頃は、夏休みになれば海に連れて行ってもらうのが楽しみで仕方なかった。
学生の頃は何か尋常じゃないほどの高鳴るものを海に感じてオレンジレンジを車でかけながら友人と出掛けた。

今この年齢になり、「水辺」を求める気持ちは変わらないけれど海よりも湖や川を求めるようになった。

年齢的なものだけではなくて、現に海水浴客は激減しているというニュースも聞く。
「海水浴」という言葉自体が茶けたフィルムのように古びた響きをもつようになってしまった。

とは言え漁村の明け方の漁師さんが徐々に集まり出す雰囲気は好きだし、ハワイ島の波の音は今でもたまにココナッツの匂いと一緒に頭の中を漂ったりする。

まぁどうでもいいや。

とりあえず先週末「水辺」を求めるままに、夏の始まりの絶好の時期に「湖畔」に行ってきた(キャンプはずっと食わず嫌いで実ははじめての体験)。

行ったのは富士五湖は西湖の「PICA富士西湖」。東京から車で2時間程度でこの景色。

この先に待ち受けるのが宿泊場のロッジ。
なかなか良い雰囲気だ(ちなみにロッジを見ると『金田一少年の事件簿』が頭に浮かぶのは僕だけですかね)。

ロッジから少し歩けば湖畔がある。
この景色を待っていた。

湖畔に腰掛けて見えるのは静かな水面と緑とその先の山と都会では鳴かない鳥の声や虫の音。遠くには子どもの嬌声も聞こえる。

目の前は大きく開けているのに囲まれているような感覚がなんだか安心する。

湖畔にはカフェスペースもある。可愛らしい女の子の店員さんに「男4人のキャンプなんですよ。この後来ません?」というストレート過ぎるナンパが繰り広げられていた。平和だ。

さて料理を作る。

火を起こすこと、ビールを冷やす工夫など、最近のキャンプ場は設備が整っているにしても、基本的に電気が通ってない場所で思い通りにならない自然を相手にした料理は新鮮で楽しい。

「キャンプは贅沢」とよく言っている人の気持ちが少しだけ分かった気がした。

冷やしたシャブリを楽しむ。

イベリコ豚のソテー。

ジャガイモのアンチョビ添え。

残った野菜で作る朝食のオムレツ。

チーズとハムのホットサンド。

ひとつ気付いたのは料理をする時、ご飯を食べる時、圧倒的に「音」が少ないということ。テレビや音楽や家の外を走る車の音や隣近所の雑音やら空調の音やらは耳に入ってこない。
炭がパチパチ言う音や虫の音くらいしか聞こえない。

普段ものすごい量の音に囲まれている生活をしている筈なのに、音が少なくなった途端に音が気になるというのは不思議だ。理由はよくわからないけれど。

呼応するように他の五感も「開く」ような気もする。
キャンプで作る料理は家のそれより手間も時間もかかる反面、味付けや手順はそんなにこだわれない。当然シンプルな味付けになる。
にも関わらず「美味しい」と呟いてしまうのは「開く」がそうさせるのかもしれない。

なんだかありきたりの話になったけれど。
とりあえず楽しかったということで。
それではまた、明日から。




Takapi
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